音円盤アーカイブス(2005年10,11月)ティーブ釜萢が、かまやつひろしのお父さんなのは、有名だけど実際の歌声は最近買ったこのCDで初めて耳にした。 1911年生まれ(明治44年)、同世代のミュージシャンに水島早苗(1901年)森山久(1908年)ディック・ミネ(1908年)ジミー・原田(1911年)見砂直照(1909年)増尾博(1913年)谷口又士(1909年)レイモンド・コンデ(1916年)小原重徳(1912年)奥田宗宏(1911年)らがいる。(ライナーノーツより引用) まさに日本のジャズ黎明期から活躍した重鎮、歴史だといってよい存在なのだけど、直接的な接点やリアルタイムでの体験(当たり前か?)がないので得の思い入れの深さと言ったものはないというのが正直なところ。 テレビでディック・ミネの顔を見るくらいだったと思う。 80年くらいに、ジミー原田とオールドボーイズのレコードがリリースされたのは覚えているけど・・・ そんなわけで、この時代の日本のジャズミュージシャンの演奏を聴くのは初めてではないにせよ、普段ほとんどないのである。 そのようなマイナス要因の中、最初の曲、「ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET」の出だしでノックアウトされてしまった。 なんて粋で洒落ているんだろう。 生き方そのものが唄に表現されていて素直に感動する。 勿論、明治生まれの人間なので頑固なところもあって、けっして器用な印象は受けないのだけど、自分をあるがままに表現していて説得力が凄いのだ。 1曲目が終わった後一言、「こんばんは!」と挨拶があるのだけど、この挨拶自体が既に音楽になっていると言っても過言でない。 最近ではジョアン・ジルベルトが「ライブ・イン・トウキョウ」で同じ様に「コンバンワ!」とやるがあれと一緒。 素晴らしいボーカリストは一言のセンテンスや挨拶を音楽に響かせる魔法を持っていると思う。 楽しい雰囲気の感じられるライブセッションで、一度生のライブを観てみたかったと思う。 血は争えず、ティーブ釜萢の生き方は、そのファッションや風貌が違えど、しっかりと息子ムッシュかまやつに引き継がれているように思う。 メンバーはティーブ釜萢(VO)秋満義孝(P)北村英治(CL)池沢行生(B)潮先郁男(G)ジミー竹内(DS)光井章夫(TP) 録音は1976年6月19日 ----------- オレゴン州ミルウォーキー出身のベーシスト、ED BENNETTの1994年リーダー作。 水彩画のジャケットがなんとなく気を引いて買った1枚。 昔、ジャズ批評のディスクレビューに載っていたような記憶があるけど定かでない。 クインテットで6曲、ピアノトリオで6曲全部で12曲収録されている。 ED BENNETTの作品は7曲で、1曲目、2曲目などレイジーな雰囲気を醸しだした好ハードバップナンバーとなっていて、60年代前半のARGOやVEEJAYあたりのレコードを聴いているのかと錯覚を起こしそうなほどツボにはまった演奏が展開される。 3曲目はピアノトリオでラッキー・トンプソンの曲をプレイ。ED BENNETTのベースがメロディーを歌い、ソロはピアノのSTEVE CHRITOFERSONが受け持っていてこのピアノがテクニシャンではないのだけど、味があって中々良いのだなぁ。 4曲目で曲調から最近(といっても10年以上前だけど)の録音だと実感する。 サンバのリズムでこういう曲調は昔はなかったのでそう気付くのだ。 5曲目は再び60年代のシカゴかデトロイトあたりのハードバップセッションのレコードを聴いている様な気分にさせてくれる曲と演奏に戻る。 オリジナル以外では、リッチー・パウエルやベニー・ハリス、マイルス・デイビスの渋めの曲が選ばれていてバラエティーに富んでいる。 選曲、演奏の両面で飽きさせないように工夫がされていて圧倒的なインプロバイザーの演奏が無いかわりに、チームプレイのほのぼのとした暖かなハードバップ演奏が聴けて悪くはない。 メンバーはED BENNETT(B)PAUL MAZZIO8TP,FLH)LEE WUTHENOW(TS)STEVE CHRISTOFFERSON(P)RON STEEN(DS) 録音は1994年7月25日、8月2日 OR ------------- このCDが発売された1990年当時今ほど、VINCENT COURTOISの名前は知られていなかったと思うけど、当時のSJの輸入盤コーナーのところに掲載されていたので、SJもまだまだ捨てたもんじゃない。 当時はフランス輸入のCDは馬鹿高く、見送っていて後に入手した。 1曲目ミンガスの「ラブバードの蘇生」でのCOURTOISのアルコによるソロに耳を奪われる。ミンガスの楽曲に感じられるどす黒い情念、風刺の精神みたいなものが、気品に溢れ、エスプリの利いた優雅なイメージに見事に昇華されていて、それが決して嫌味なものでなくすんなり受け入れられる仕上がりになっている。 鈴木勲はチェロをほとんどピッチカートで弾いているが、この作品でのCOURTOISはアルコ奏法で押し通す。(6曲目はピッチカート) 個人的にはあまり弦楽器のアルコ奏法を好まないのだけど、COURTOISくらいニュアンスに富んだ表情豊かな演奏であれば、飽きずに聴きとおすことが出来る。 オリジナル作品がアルバム10曲中7曲を占めている。 1曲目のイメージが一貫して維持されており、コンセプトをフォーカスしてプロデュースされているのだが、 演奏技術が優れている為中だるみすることもなくしっかりした作品となっている。 ジャズオリジナルでは他にエリントンの「I GOT IT BAD AND THAT AIN'T GOOD」とオスカー・ペティフォードの曲が選ばれていて、これも中々の好演。 今ではあまりこういう比較的ストレートなジャズを耳にしないVINCENT COURTOISの90年初めの快作と言えると思う。 メンバーはVINCENT COURTOIS(CELLO)PIERRE CHRISTOPHE(P)BENOIT DUNOYER DE SEGONZAC(B)SERGE GACON(DS) 録音は1990年6月28,29日 --------- イタリアの若手ベーシストGIUSEPPE BASSIの新作、イタリアのウェブサイトで2,3曲試聴できて、良かったので購入した。 前作は比較的大編成のコンボによる作品だったけれども、新作はカルテット中心のアルバム。といっても曲によってはゲストを招いており、DADO MORONIが2曲(なんと「BLUES IN THE CLOSET」ではベースを弾いている。)ギターのGUIDO DI LEONEが1曲、ボーカリストが加わったナンバーもあって変化を持たせている。 あくまでもサウンドの核はカルテットによるサウンドによるものなのは言うまでもない。 GIUSEPEのベースサウンドは足腰のしっかりしたゴムマリのような張りのあるもので、とても引き締まった音色がとても良い。 テナーのFABRIZIO SCARAFILEは初めて聞く名前だけど、なかなかの好プレイ。 歌心に富んでいて若手らしいフレッシュで前へ前へ飛び出してくるサウンドで、これからの活躍を予感させる期待の人材だと思う。 テナーの音に、ジョニー・グリフィンやスタンリー・タレンタインのような黒っぽいフレーズを効果的に使用して楽曲を魅力的に吹奏している。 「SUGAR」「NEVER LETMEGO」「BLUES IN THE CLOSET」「LOVE FOR SALE」などおなじみの曲とオリジナルとの配分も良くてアルバム一枚を聴き終えた後は良い作品を聴いたという心地良い充実感がのこると思う。 作曲も素晴らしく私のお薦めは3曲目「POTRAIT」。 キヤッチーなメロディーが魅力的な飛び切りのキラーチューンだと思う。 メンバーはGIUSEPPE BASSI(B) FABRIZIO SCARAFILE(TS)NICOLA ANDRIOLI(P) MIMMO CAMPANALE(DS)guest DADO MORONI(P,B)PAOLA ARNESANO(VO)他 録音は2004年12月 ---------- 勉強不足のため、このアルバムの存在は知らなかった。 SJの輸入盤紹介欄でDUの山本さんが何時にまして、褒めちぎっていたものだからこれは買わないといけないなぁと思い注文した。注文はHMVにしてしまった。ゴメンナサイ! NOR-DISCのオリジナル盤はいったいどのくらいの値段がするのだろう? 6桁代?とにかくこういう貴重な音源がCDでも復刻されることは意義がある。 でも、ブルーのジャケットがカッコいいので、できたら澤野工房がやっているような本格仕様のアナログ盤復刻してほしいというのが全ジャズファンの偽らざる気持ちだろう? ピアノトリオのファンであれば、満足いく出来映えににんまり笑みがほころぶ内容なのは言うまでもない。 コレクションに即座に加えることをお薦めします。 最近はこういうノルウェーやアルゼンチンなどいままでごく一部のマニアにしか聴かれていなかった音源が復刻されて新譜を追いかけるのと両立が難しく全てをフォローするのはとても困難なのですけど、これはというものはついつい財布の紐が緩んでしまう。 ドラムは当時24歳のJON CHRISTENSENが担当。 いわゆる名盤とか、ピアノトリオの代表的名作ではないけれども、(どちらかとういと正直いって普通のピアノトリオ)持っていて確実にコレクションの価値が高まる作品で、ファンとしての心を豊かにさせてくれる一枚だと思う。 最近はジャズベスト500選とか歴史的名盤なんかより、こういうマイナーもの、レアものへの愛着が強くなって、新譜でも同じくそういうものへのこだわりが強くなってきている。 ようするに、お仕着せの企画にのったコレクションより自分自身の価値観で探し出して発掘したコレクションの方が、当然価値があるし、思い入れも強いものになると思うのだ。 ジャズファンも十人十色、真の意味で個性化の時代に入ったのではないかと最近感じている。 メンバーは、EINAR IVERSEN(P)TOR HAUGE8B)JON CHRISTENSEN(DS) 録音は1967年3月9,10日 ----------- アルトサックスのLIBERT FORTUNYは、一度聴いてみたいと思っていて(リーダーアルバムは未だ未聴)、そんな時ツーサックスのトリスターノとモンクに捧げられたLTM QUARTETのアルバムがスペインのSATCHMO JAZZからリリースされたので、聴いてみた。 LIBERT FORTUNYのアルトは40年代後半から50年代前半にかけてまさしくトリスターノ門下で研鑚を積んでいた青白い光を発する鋭利な刃物のように鋭いコニッツ(カミソリコニッツ)ほどではないが、70年代以降の別人ではないかと思わせる最近のコニッツ(仙人コニッツ)より緻密で緊張感溢れたプレイをしていて耳を引きつける。 最近のコニッツがダメだと言っているのではない。 あれはあれで、充分聴く価値があると思う。 コニッツ以外に、よく前期、後期に分けて論じられるミュージシャンに、アート・ペッパーやチェット・ベイカーが挙げられるけれども、不毛の話題だと思う。 大体、天才と言われるミュージシャンでも本当のピークは2,3年の短い間で、同じ生身の人間なのだからそんなに長くは続かないのである。 いいときも悪い時もすべてを分かり、まっとうしてあげてこそ、本当のファンと言えると思うのだがどうだろう。 ベストプレイだけを聴いてそのミュージシャンをわかったつもりになってはいけないと思うのだ。 それはあたかも、オムニバス盤やベスト集を聴いてジャズが分かったような気になるのと同じ様なことだと思うのです。 ジャズを本当に理解しようと思ったら大量に多様に(つまり深く多く)聴くしかないというのが自論で、そこから独自のジャズ観が芽生えてくるのだと考えている。 それまでは、ひたすら聴いて、歴史もちゃんと勉強した方が良いと思っている。 じゃないと、ひとりよがりの好き、嫌いの主観的な考えだけになってしまうからね。 別に音楽聴くのにルールはないので、そんな人がいても全然構わないのだけど、 客観的に判断する価値基準をちゃんと持っているほう方が同じ聴くにしても断然楽しいと私は思うのです。 脱線してしまった。 このアルバム、4曲目の「SUBCONCIOUS LEE」あたりから、ホリゾンタルなラインはそのまま維持しつつ、アドリブソロはすこしハードな表情を覗かせて現代のミュージシャンらしいところを見せる。 色気はコニッツに負けるなぁ。 今度はリーダーアルバムを聴いてみようと思うFORTUNYの演奏であった。 メンバーはLIBERT FORTUNY(AS)JON ROBLES(TS)DAVID MENGUAL(B) JUANMA NIETO(DS) 録音は2003年5月7日 BARCELONA ------------ LOREN PICKFORDの1988年の作品。ジョージ・ケイブルスやビリー・ヒギンズがサイドメンを務めていてる。 さっきネットで知ったのだけど、ローレンもハリケーン「カトリーナ」の被害にあったそうだ。直撃する二日前にニュー・オーリンズの街から脱出して、今はカンサスシティーにいてベネフィットコンサートを企画しているという記事が載っていた。 ジャズファンは皆、心を痛めていると思うのですが、一日も早くニューオーリンズ の街が完全復帰するのを願っています。 ローレンのスタイルは思い切りのよい伸び伸びとしたストレートなもので、エモーションが最も高まった時にファズトーンを多用するところなど、フィル・ウッズを連想させけれども、ローレンの場合もっと大衆的な下町の味がする。 曲によっては多用しすぎて、少し安っぽく感じさせるところがないこともない。 教育者としてニューオーリンズの大学で教鞭をとり、地域に根づいた演奏活動をしているので、ローカルな印象はいなめないのだけど本人にもっと売り込もうという積極性があったら注目される存在になったかもしれない。 慈善コンサートを開催するぐらいだから、ものすごくいい人なんだろう・・・ そんな人となりが「ONCE UPON A SUMMERTIME」の優しく、儚さを感じさせる吹奏によく出ていると思う。 メンバーはLOREN PICKFORD(AS)GEORGE ROESSLER(G)GEORGE CABLES(P)JOHN HEARD(B)BILLY HIGGINS(DS) 1988年作品 ------------ DIWが扱いだしてレビューが雑誌に載るようになるまで、日本語表記を「ロバート」だと思っていたGEORGE ROBERT(ジョルジュ・ロベール)の1999年ライブ録音。 ケニ―・バロンとの共演がとても多いけど、本作もそう。 いつ聴いても安定した実力を確実に発揮して聴衆をうならせる演奏レベルは、相当高い。好不調の波がなく、常に高レベルでのプレイを維持していく技量は、才能だけでなく、現場での絶え間ない努力と研鑚の賜物であろう。 決してアート・ペッパーの様な天才型のプレイヤーではないけれども、努力の跡が一目で見てとれる痕跡が感じられないのがいい。 コールマン・ホーキンスが「上手く吹こうとすれば人一倍練習することだ。そしてその練習に費やした努力を感じさせないように吹ければそのプレイはきっと素晴らしいプレイになるだろう。」というニュアンスの言葉を言ったが、それを今思い出した。 ようするに、ロベールのプレイは自然体なのである。 ジャズの勉強しました風の演奏じゃないからナチュラルなんだ。 自然体なので、風のように流れるまま自由なプレイができる。 もちろんフリージャズという意味ではない。ストレートジャズのルールに則った範囲内での最大限の自由という意味でだ。 師匠フィル・ウッズの一番の後継者はこのジョルジュ・ロベールだと思う。 メンバーはGEORGE ROBERT(AS)KENNY BARRON(P)RUFUS RIED(B)KENNY WASHINGTON(DS) 録音は1999年4月25日 LAUSANNE ----------- 今日、朝飯を食べながら、新聞を読んでいてシャーリー・ホーンの訃報を知った。 20日、ワシントンでなくなったらしい。享年71歳。 以前から名前は知っていたけれど、聴く機会がなくて聴き出したのは比較的最近で1998年のこと。 これまでの黒人女性ボーカルのイメージを覆すしっとりとした深く豊かな感情表現に一辺に惚れ込んでしまい、7,8枚のCDを立て続けに買い求めた。 年齢を重ねるととともにスキャットやフェイクにあくが強くなり、がなりたてる印象が強い黒人女性ボーカルが苦手な私にとって、まさに目から鱗が落ちるような状態だった。 このアルバムは、彼女のレギュラートリオに多彩なゲストをむかい入れた豪華なつくりの作品で、VERVE時代はこういった豪華な作品が目白押しなんだけれども、本作はMILES DAVIS,WYNTON MARSALIS,BRANFORD MARSALIS,TOOTS THIELEMANSととりわけ豪華なソロイストを配した一作。 ホーンの唄とピアノが、各フューチャーソロイストと見事にからみあい曲のよさを引き出し魅力的なものにしている。 やはり、マイルスがフューチャーされた「YOU WON'T FORGET ME」に留めをさす。 最初の一音で音楽のカラーを作り上げてしまうところは、尋常でない。 WYNTONには悪いけど、格の違いを感じさせると言っても良いぐらいマイルスの伴奏は素晴らしくワン&オンリーなものだと思う。 そのマイルスと久しぶりの共演で、互角の勝負をするシャーリー・ホーンもたいしたボーカリストだと思う。 冥福を祈りたい。 ------------ 目下絶好調のフランスを代表するリズムチームになってきた感のあるムタン兄弟の最新作。このグループで2度目のメンバーチェンジがおこなわれていて、ピアノがバプティステ・トロティニョンからPIIERRE DE BETHMANNに替わっている。 重厚でありながら、切れ味鋭いムタン兄弟のリズムに新加入のべスマンとマーギッツァがソロプレイを展開するというのが主な構図だけれど、もちろんムタン兄弟のソロもある。全体のバランスを重視しているので、むやみに長いソロはとらない。 1曲目はウェザーリポート風のテーマの後は、べスマンのハンコックライクな軽やかなソロとマーギッツァのネオバッピッシュなソロが展開される。 3曲目はFRANCOIS MOUTANのベースが全面的にフューチャーされたパーカーメドレー。「ドナ・リー」のソロはジャコの有名なバージョンが頭をよぎっていると思うけど、ムタンはアコースティックベースでこれを押し通す。 5曲目ではマーギッツァの幻想的なバラードプレイが聴ける。 全体的にスタイリッシュで勢いのある、爽快感の残るジャズサウンドを指向していると思うのだけど、リズムセクションの新感覚的なサウンドとマーギッツァの旧来と言っては言い方が悪いかも知れないが、プレイヤー指向の強い音数の多いアクロバティックなソロワークとの感覚のずれがないと言ったら嘘になる。 サウンド指向的にはブルックリン派の面々の浮遊系プレイの方がマッチする感じもするが、マーギッツァとリズム隊のサウンドのミスマッチ感はこれはこれで楽しめるのがジャズの面白いところ。 日本にもEQという人気バンドがあるが、EQのファンの方に是非聴いてもらいたい作品であります。 メンバーはFRANCOIS MOUTIN(B)LOUIS MOUTIN(DS)PIERRE DE BETHMANN(P,FENDERRHODES)RICK MARGITZA(TS) 録音は2005年2月5,6,7,8日 ----------- ニュージャージーで活躍しているギタリストNEIL McNAMARAのファーストアルバム。サイドメンにSONNY FORTUNEとRUFUS REIDが参加していたので購入したもの。 これが思わぬ拾い物だった。 道端の雑草にまぎれて咲いている綺麗な色の野花を見つけたときのような感じ。 周りの風景にマッチしながら、精一杯の自己主張をして自身の存在をアピールしていると言ったら良いだろうか? ちょっと可愛らしくて愛着が増すような存在。 NEILMcNAMARAのギターはちょうどそのような雰囲気を持っていて、心のどこかに引っ掛かる。 決してテクニシャンではないし、新しいスタイルのギタリストでもない。 自分の中から浮んでくるメロディーをオーソドックスなスタイルで歌う、曲と全体のバランスを重視するタイプのギタリストだと思う。 ホーンライクなアドリブプレイもそんな訳で、60年代のケニー・バレルやグラント・グリーンをちょっと彷彿させる安心プレイで、良く歌っている。 SONNY FORTUNEもいつもより幾分抑え目のアドリブで、一人暴走はしない。 3曲目「RAINY NIGHT」や6曲目「ALWAYS REMEMBER」は叙情味のあるフルートとギターの音色がとてもマッチしていて今の季節に聴くのにちょうど良いかも知れない。 一番のお気に入りは「HOW INSENSITIVE」。 決して上手いとは言えないけど、フォーチュンのフルートは味があって素晴らしい。続くMcNAMARAのソロもオクターブ奏法を効果的に使って心に残るソロを披露。 決してA級の作品、名盤ではないけど、B級にはB級のよさがある事を知らしめる作品のよい例だといっても良いと思う。 メンバーはSONNY FORTUNE(AS,FL)NEIL McNAMARA(G)RUFUS REID8B)MARK JOHNSON(DS) 録音は1997年2月15,16日 NJ ----------- オーストラリアのサックス奏者DAVID REXが1998年に発表したカルテット作で、 今から4年ほど前DUから購入した。 未開の地、オーストラリアのジャズシーンはピアノトリオばかりでなく個性的で多種多様なジャズが根づいていて、これから折にふれて取り上げていきたいと思っている。 オープナーからいきなり新主流派然とした活きのいいサウンドが飛び出してくる。 DAVID REXはパワフルなファットトーンの持ち主で、ヴィンセント・ハーリングやジェシー・デイビスを少し連想させるところがある。 マクリーンのフレーズ、イントネーションを感じさせるところもマイナス評価にはならないだろう。 まだまだ発展途上の成長段階のミュージシャンなのが分かる。 1998年の録音なので、現在はもっと違った演奏をしているのではないかな? 2,3曲目はコルトレーンの「COUNT DOWN」JJの「LAMENT」と有名曲が続き、アップテンポ、スローバラードどちらも好感のもてるプレイをしている。 正面を見据えた実直でキリッとした演奏は聴いていて気持ち良い。 ジャズミュージシャンとしての大きな個性や色気はまだまだこれからだと思うけれども、期待を抱かせるに充分の演奏をしていると言える。 オーストラリアにはDAVID REX以外に日本で紹介されていないミュージシャンが大勢いる。 実は昨日オーストラリアのあるレーベルに直接、注文をだした(12アーティスト)ところで、自分の分だけだったら割高なので、数増ししてオーダーした。 それでも、送料が滅茶苦茶高いです! 少し余分があるので入荷したら「VENTO AZUL RECORDS」で販売予定です。 ------------ 1992年にCCBという(CHET & CAROL BAKER PRODUCTIONS)という会社からリリースされたチェット・ベイカー・トリビュートもの。 チェットゆかりのPHIL MARKOWITZがプロデュースしている。 マコーウィッツつながりでサックスはデイブ・リーブマンが参加していて、チェット・ベイカーの音楽と違和感があるのではないかと感じたのは事実。 アップテンポの1曲目が終わってチェットの愛奏曲「BEAUTIFUL BLACK EYES」のリーブマンのソプラノによる幽玄美溢れるテーマ吹奏が始まって危惧に終わった事を実感した。 確かにチェットとリーブマンでは音楽性やスタイルが全く違うのは言うまでもない。両者とも多作であるところはよく似ている。 アドリブに命を賭ける生っ粋のジャズミュージシャンであるところと、多分頑固なところも類似点として挙げられるかも知れない。 肝心なのは自身のスタイルや音楽性を曲げずに、心からチェットのことを思い出しながら熱い演奏を繰り広げたことだと思う。 しかしである・・・作品全体の出来はB級、ひょっとしたらC級かもしれない。 チェット役としては明らかに役不足なBILL DOWLINGのトランペットがしょぼい(だからほとんどリーブマンがソロをとっている。)のと、ドラムのリズム感がイマイチ、アルバム半ばでフューチャーされる女性ボーカルも?といった具合で全体のバランスが悪いのだ。 リーブマンやマコーウィッツが善戦しているだけにメンバーの人選がもっと良ければ名盤になっていたかも知れないだけに残念である。 メンバーはDAVE LIEBMAN(SS)PHIL MARKWITZ(P)DAVIA SACKS(VO)BILLY DOWLING(TP)DENNIS IRWIN(B)ARTT FRANK(DS) 1992年作品 ------------ 最近あまり名前を聞かないMARLON JORDANだけど、活動は続けていてアルバムもリリースしている。 1990年に期待の新星という感じでデビューして、その夏のライブ・アンダー・ザ・スカイでの「チェロキー」の演奏がTVで放映された。 ロイ・ハーグローブと同時期のデビューでライバル関係という位置付けでジャズ雑誌にも取り上げられたはず。 「ジャズ・フューチャーズ」というグループで再来日もしたはず。 売れっ子に祭り上げられ若気の至りか本人もいい気になっていたのだろう。 酒に溺れ、暴力事件を引き起こし、一時ジャズシーンから遠のいた時期があったと伝え聞く。 このアルバム、その登り調子のいい気になっていた時期のアルバムなのですが、 出来は決して悪くない。 ウィントンマナーのオリジナル作品と演奏スタイルは個性的とは言いがたいけど、この第2作目(当時20歳)は、ファーストアルバムの作為性が薄まって個人的にはこちらに軍配をあげたい。 数年後にはニコラス・ペイトンなどよりパワーとテクニックを兼ね備えた後輩がデビューすることになるのだけど、マーロンもまだまだ若いのだから、ジャズシーンでもう一花咲かして欲しい。 日本のレコード会社も、こういうミュージシャンにもう一度スポットをあててレコードを出してもらいたいものだ。 メンバーはMARLON JORDAN(TP)TIM WARFIELD(TS)TARUS MARTEEN(B)PETER MARTIN(P)TROY DAVIS(DS) 1991年作品 ------------ 2001年に彼女が飛び降り自殺したというニュースを読んでショックを受けた。 CONCORDレーベルから順調にリーダーアルバムもリリースしていたし、情緒豊かな彼女の歌からはそんな負のイメージをこれっぽっちも抱かなかったから・・・ コンコードレーベルと契約する前からアルバムに1,2曲ボサノバナンバーを入れていたけど、この作品は全曲ブラジル音楽をラインナップしたエポックメイキングな一作。 ポルトガル語もナチュラルな響きで違和感なしに聴ける。 本場ブラジルには、エリス・レジーナ、ナラ・レオン、ドリス・モンテイロ、ガル・コスタ、シルヴィア・テリス、ワンダ・サー、ホーザ・パッソス、レイラ・ピニャイロ、ジョイス、それこそ好きな歌手を挙げたら枚挙ないのだけど、ブラジルの歌手に負けずSUSANNAH McCORKLEもこの作品で素晴らしい歌唱を披露している。 バックはバリバリのジャズミュージシャン(スコット・ハミルトン、エミリー・レムラー、デニス・アーウィンなど)による演奏であるし、McCOKLE自身ジャズ歌手なので土着のブラジル音楽が展開されているわけではないけど、ソフィスティケートされたアメリカの白人ならではのリラクゼーション豊かな音楽が展開されている。 夜、雨に煙る道路を運転中、ワイパーの作動する音と一緒にカーステレオから流れてきた「ESTATE」と「SABIA」に思い入れがある。 すこし、ほの暗い印象のMcCORKLEの声は後の自身の人生を予感していたのだろうか? メンバーはSUSANNAH McCORLKLE(VO)LEE MUSIKER(P)SCOTT HAMILTON(TS)EMILY REMLER(G) DENNIS IRWIN(B)DUDUKA FOSECA(DS)CAFE(PER) 録音は1990年2月 NYC ----------- LEO SMITH・・・いままでほとんど縁がなく聴いた事がなかったミュージシャン、わずかにマリオン・ブラウンがらみのレコードを所有しているけど、それもあまり印象に正直言って残っていない。 電化マイルスにトリビュートした作品もリリースしていて気にはなっていたけど、素通りしてしまっていた。 この2000年に発売されたCDもジャック・ディジョネットがドラムということで当時買ってみる気になったことを記憶している。 デジョネットのドラムがいきなり本気モードで迫ってきて、このセッションが格闘技でいえば、なんでもありのシュートの試合なのがわかる。 予定調和が、微塵も感じられないミュージシャンの感性にゆだねられたこういうセッションをフリージャズと呼ぶのはたやすいことだと思うのだけど、デジョネットとマラカイ・フェイバースのリズムの土台がしっかりしているので、意外と聴きやすいと思う。 二人のリズムのうねりの中をLEO SMITHのトランペットが疾走し、叫び、湧き上がるメッセージを自らの肉体を通して音の塊りとして感情の発露を顕わにする。 ドン・チェリーの吟遊詩人的な部分と、オル・ダラやアーメッド・アブダラの(ハンニバルもはいるかな?)突撃精神が微妙なバランスで均衡を保っているLEO SMITHのトランペットはこちらの予想以上に力強く美しい。 今まで聴かず嫌いだったことを反省する次第。 メンバーはWADADA LEO SMITH(TP,FLH)ANTHONY DAVIS(P)MALACHI FAVORS(B)JACK DeJOHNETTE(DS) 録音は2000年1月3日 ----------- ELABETHから2000年にリリースされたフランスのテナー奏者RICHARD RAUXのアルバム。ジャケットの表情からすると結構激情的サウンドが展開されているのかと思ったらそうでもなかった。 オーソドックスなワンホーンハードバップ演奏なのだけど、テナーの音色が白人らしくないというか、黒っぽいのですね。 ちょうどジミー・フォレストやジーン・アモンズを想像してもらえば分かるだろうか? ゾリッとして鈍く黒光りしているようなテナーの音色は、吹いているのがフランスの白人だと聴くだけでは到底思わないだろう。 WAYNE DOCKERYのソリッドなベース、(この人黒人のベーシストにしては、レジー・ワークマンとならんでピッチがとてもいいと思う。)とザックリと切り込んでくるCHARLESS BELLONZIのドラムのコンビネーションも非常に良くて安心して聴き進むことが出来る。 とりたたてこれといって言う事のないセッションなんだけど、全体の印象はジャズの王道をマイペースで突き進んでいるかのようなハードバップど真ん中のサウンド。それからすると、5曲目のカントリーテイストの曲はミスマッチでちぐはぐな感じは免れない。 7曲目「BLUES FOR BAGS」フルートによる演奏はまるで、60年代のレコードを聴いている様な気分で、深夜のフロアなんかでも映えるのではないだろうか? メンバーは、RICHARD RAUX(SAX,FL)OLIVIER HUTMAN(P)WAYNE DOCKERY(B) CHARLES BELLONZI(DS) 録音は2000年3月6,7日 ------------ いやはや、急に忙しくなってきた。 昨日、注文していたCDが大量に入荷(私にとっては・・・)、その荷捌きと前発注をもらっていた分の仕分け、そしてネットショップの画像取りとアップ作業に夕方までかかってしまった。 もっとも夜は家族と山間にあるスーパー銭湯にいってのんびりと過ごしたのですがいまからどんどんCDが入荷する事が嬉しい反面、支払いのことを思うと今から胃が痛くなってくる。 英文メールにも最初のころよりだいぶ慣れてきた、なにしろ大学受験のころが英語の読解力のピークだったもので、翻訳ソフトと照らし合わせながら英作文の時間が苦痛だったけど、慣れてしまえばやり取りする内容はみな大体同じ様なことなので、後は結構楽になってきた。 もっとも、なんらかのトラブルがおきれば、即英作文のお時間の始まりとなるので、その時は大阪のO本さん、助けてくださーい! 今回の入荷は人気のピアノ作品はもちろん、スウェーデンやコロンビアのまだ日本未紹介の作品,有名なミュージシャンの知られざる作品、無名ミュージシャンの力作と結構バラエティーに富んだいい作品が集まったとここで自画自賛するのであります。すべて試聴できるようにしていますので是非聴いてみて下さい。 そして、買ってくれたら正直もっと嬉しい! さて、30作品中最初に取り上げるのが西オーストラリアのピアニストが自費でリリースしたトリオプラスクインテット作品。 ピアニストの名前を、GLYN MACDONALDと言う。 オーストラリアは実際まだまだ未開の地で、無名の若いジャズミュージシャンがごろごろいて、彼らの紹介ももうすぐしていきたいと思っています。お楽しみに。ジャズはワインじゃないけど、イタリアとアルゼンチンとオーストラリアが今面白い! 実は既にあるレーベル(たぶん日本未紹介)の主要作品を発注済みで、今から到着するのが楽しみなのだ。ペイパルで送金せずに、国際為替で送ったので時間が少しかかりそう。アメリカと違って2,3週間かかるらしい。 まあ、先払いなので後で請求がきて引き落としの時に冷や冷やするのに比べればその方が精神衛生上いいのかもしれないけど。 なかなか本題にはいらないのだけど、この作品「イイです!ハイ。」 トリオでは、澤野商会のピアノトリオ作品みたいに、そこはかとない情緒をかもし出しているし、クインテットでは活きの良いハードバップが奏でれられる。 シーンの演出に流し聴きも出来るし、スピーカーの前に陣取っての本格的鑑賞にも充分耐えうる充実作とみた。 今回の入荷作品の中でも出色の出来映えだと思う。 常連のお客さんに、耳の良い方がいらして初回入荷分は既に完売。 でも直ぐにバックオーダーかけたので、来週中には入荷する予定です。 今月のプッシュ 第一弾は「GLYN MACDONALD TRIO」に決定! BILL RISBYみたいにプレミアがつくかも・・・ メンバーはGLYN MACDONALD(P)SAM ANNIG,MICHAEL PERKINS,CARL MACKEY, MATT JODRELL メンバーの楽器担当がクレジットされていない為現在調査中。 こういうところが自費製作らしい。 録音は2004年5月8,9日 ------------ 2000年6月に「WORLD STAGE」というライブハウスに出演した時のライブ録音。 このアルバムはビリー・ヒギンズに捧げられている。 というのは、このアルバムのドラムがビリーであるし、ROBERT STEWARTの出世作、名盤「JUDGEMENT」のドラムがヒギンズだったと言う経緯もある。 サイドメンは、LARENNCE MARABLE,AL McKIBBON,ART DAVISといったベテランというより長老クラスのジャズ界の名だたるメンバーとの共演。 ここで、気が付いたのですがこのCDのWORLD STAGEというのは「JUDGEMENT」のWORLD STAGE RECORDSと一緒で本作「THE MOVEMENT」はレーベル名こそEXODUSと名前が変わっているのだけれど、品番は1013,1014と通し番号で続いている。 「JUDGEMNT」が1994年のリリースだったから、実に8年ぶり(本作は2002年のリリース)になるわけだ。 1曲目はその「JUDGEMENT」、最初は神妙な雰囲気ではじまるがライブということもあって中盤から観客の声に反応したのか次第に熱気を帯びていきブローにつぐブロー。2曲目もジャンプ調の曲なのでよりノリノリの展開が強くなる。 それにしても、客の歓声がリアルでちょっと五月蝿い感じもする。 アメリカのライブハウスのノリって多分音楽の種類にもよるけど、こんな感じなんでしょうね。自分も音楽の一部になって楽しむ、素直に感情表現してミュージシャンを鼓舞する。いわゆる鑑賞型ではなくて参加型の音楽の楽しみ方なのだ。 「酒バラ」と「キャラバン」と有名曲が続き2,4曲目ではRICHARD GRANTというトランペッタ―が参加、クインテットによる演奏となっている。 ROBERT STEWARTのプレイはリードのぶ厚さが窺い知れる重厚なトーンで快調そのもの。この作品、もっとも当初発売されることを意識して録音されたものではないだろう。バランスが少しオフ気味になったり、レバルがオーバーになって録音されているところがあって、多分ビリー・ヒギンズがらみでリリースされたという憶測もなりたつのだ。 と言っても、日常のロバートの生々しいライブ演奏が聴けるのだから決して完成度は高くないけど持っていてよいアルバムだと思う。 最後は待ってました!コルトレーンの「IMPRESSIONS」で大円団。 クインテットによる演奏だけど、できたらカルテットで演ってほしかったな。 メンバーはROBERT STEWART(TS)BILLY HIGGINS(DS)LARANCE MARABLE(DS) NATE MORGAN(P)ART HILARY(P)AL McKIBBON(B)ART DAVIS(B)RICHARD GRANT(TP) 録音は2000年7月28,29日 ----------- いっぱい新作CDが入荷したので1日1枚のペースでは一月ほどかかってしまうので、 一日に2,3本このブログでの紹介のペースを早めよう。 大体、1000字から1500字くらいでいつもは書いているのだけど一本当たりの分量はちょつとコンパクトになるのはご勘弁を・・・ 白人女性ピアニストLAURA CAVIANIが1997年にリリースした作品で、ギターを加えたカルテット作品。2曲に今では売れっ子のカリン・アリソンが参加して花を添えている。この作品 レーベルが重要というか、倒産したようで今ある在庫だけで再プレスはどこか別の会社が権利を買いとらない限りない。 IGMODレーベルは結構良質の作品をリリースしていたのだけど、如何せん地味な作品が多く、通受けはするのだけどあまり売れなかったのかなあ? この作品などは、アピールするところが結構あって埋もらしてしまうには勿体無い作品。LAURA CAVIANIは真面目な性格が窺い知れるきっちりしたピアノを弾く人で、ファジーな音使いがなくて、言わばチック・コリアのように常に自分が何をやっているか分かって音楽やっているタイプのミュージシャンだと思う。 決して頭でっかちな音楽表現するわけではなくて、女性ならではの細やかな情感にも長けたリラクゼーションも持ち合わせたエンターテイメント性のあるピアノを弾くミュージシャンだと思う。 今、手に入れておかないと将来は入手が難しくなる作品。 追加発注を既に入れておいたのですがそれが最後になるかもしれない。 メンバーはLAURA CAVIANI(P)BOB BWMAN(B)TODD STRAIT(DS)ROD FLEEMAN(AC-G) DANNY EMBREY(ELG)KARRIN ALLYSON(VO) 録音は1997年5月12,13日 ----------- 今年になってMANUEL VALERAに注目していてすでに2作品紹介しているけれども、この3枚目のアルバムは、多分今のところ「VENTO AZUL RECORDS」でしか買えないと思います。 前作はFSNTからのリリースだったけど、本作はMAVO RECORDSという初めて名前を聞くレーベルからのもの。今回もSEAMUS BLAKEが参加している。 デビュー作が2003年10月、FSNTからの前作が2004年10月の録音で、この作品は丁度その間の2004年3月の録音となっている。 このアルバムでは、VALERAの音楽性がより幅広い形で具体的にプレゼンテーションされていると思う。アントニオ・サンチェスとベン・ストリートの軽やかでスピード感のあるリズムをリズミカルなタッチで駆け抜ける自身のピアノとシーマス・ブレイクのテクニカルなテナーをフューチャーしたネオバッピッシュなこれまでのやり方を踏襲している部分と本作で試みられている自らのラテン歌謡性の部分をカルテットサウンドと弦楽奏団で融合を図っている点。 そして重要な事はどちらにおいてもVALERAのピアノがしっかり自己主張していて、表現したいことがそのサウンドを通してこちらに明瞭に伝わってくることなのだ。 個人的にはこういうサウンドに一番肩入れしているので、是非一度聴いていただきたい一作です。 メンバーはMANUEL VALERA(P)SEAMUS BLAKE(TS,SS)BEN STREET(B)ANTONIO SANCHEZ(DS)LUISITO QUINTERO(PER) 録音は2004年3月8,9日 ----------- BILL STEWARTの2002年録音のリーダーアルバム。 ブルーノートからのリーダー作以降、サイドメンとしては大活躍を続けていて、白人若手ドラマーとしてはトップクラスの存在になったビルであるが、リーダーアルバムの発表は長い間なかったので、ファンとしては待ちわびた一作。 そしてこの作品なんと何処のレーベルでもない自費制作のようだ。 CD番号もレーベルもなくて、BILL STEWART MUSICと書かれているだけ。 そんなことからも、BILL STEWARTが本当にやりたかったことが体現された作品なのが窺える。 LARRY GOLDINGSとKEVIN HAYS,二人のキーボード奏者を迎えた変則的なトリオフォーマットの作品で、普通のピアノトリオアルバムの方が当然、世の中に受け入れやすいし、ビジネス的にも販売が期待できると思うのだがあえてそういう方向へいかずに自身の演りたいことをするのが、真のミュージシャンシップというかアーティスティックなところなのだろう。 LARRY GOLDINGSが主にオルガン、KEVIN HAYSがピアノ、キーボードを主に担当していてそのユニークに交錯するキーボードサウンドの渦のなかを、中央に陣したビルのドラムが縦横無尽に駆け巡るといったような構図を思い浮かべてもらったら良いだろうか? とにかく、普通でないユニークな音楽、興味お持ちの方は是非体感してみて下さい。 録音は2002年1月8,9日 CLINTON STUDIO, NYC ------------ このCDは白崎彩子がピアニストで参加していたので、オーダーしたのだけれど、 聴いてみてビックリ! 思わぬ拾い物とは、こういうCDのことを言うのだと思う。 TIM COLLINSはニューヨーク生まれの録音当時(2002年)25歳のバイブ奏者で、元々はピアノとドラムを演奏していて、それからその両方の特色を兼ね備えたバイブもやりはじめた。 バイブラホォン一本に楽器を絞り込んだのはわりと最近で1999年のこと。 いまでも、サイドメンとしてはドラマーとしても活躍していてDick Oatts, Cecil Bridgewater, Steve Brown, John Benitez, Steve Kirby, Brian Lynch, Don Menza, Andy LaVerneと演奏している。 1曲目からやる気の感じられるモードナンバーが展開されて聴いていて爽快感がある。感じとしては60年代のボビー・ハッチャ―ソンの「HAPPENNINGS」を思い浮かべてもらったら割と似た雰囲気かもしれない。 そう言えば、2曲目の「SONG FOR JASON」も「LITTLE B'S POEM」の曲調に良く似た良曲だ。 サイドメンでは、やはり白崎彩子のピアノがはじけていてとても良い。 ニューヨークのまだまだどちらかというと名前のあまり知られていないこういうやる気の感じられるミュージシャンの作品を応援するのもジャズファンとしての醍醐味だと私は思う。 メンバーはTIM COLLINS(VIB)白崎彩子(P)MILES BROWN)B)OBED CALVAIRE(DS) 録音は2002年3月24日 NYC ---------- アルバムの選定作業をしてる時、このアルバムに偶然目がいった。 HILTON RUIZ・・・またラテンジャズの作品なんだろうなぁ、さして気にもせず0、2秒後に次の作品へ目が移ろうとする瞬間、ジャケット下のGEOREGE COLEMANのクレジットが目に入った。 ということは、オーソドックな4ビートジャズ。ドラムはGRADY TATEかぁ・・・ その瞬間にこのアルバムを売ろうという気になった。 録音も2004年と新しく、コールマンの最も最近の演奏が聴けるアルバムだと思う。 60年代マイルスのところに短期間いた時はボロクソ言われたコールマンだけど、ホント味のあるいいテナー吹きだと思う。 元来天才型のプレイヤーではないのだから、大体コールマンにコルトレーン、ショーターと同じものを期待するほうが間違っているのだ。 メンフィス出身のミュージシャンが一同に会した「DOWN HOME REUNION」というアルバムがあるけど、もともと田舎町出身の土ぼこりのするブルースが得意なミュージシャンなのだから当時の最先端のモードジャズについていけるはずが無かったのだ。それから40年・・・コールマンのマナーはしっかり、現代テナー界に受け継がれていますよ。エリック・アレキサンダーという青年に。 コールマンのテナーは昔も今も重くない、ヘビー級ではなくて、ライトヘビー、クルーザー級の身のこなしなのである。だから決して軽くは無いのだけれど、ワンパンチで相手を秒殺する力はない。でも次第に聴いてくるのだなぁ、これが。 気が付いたときは足がもつれてKO寸前といった次第。 このアルバムも聴き終わるころにはすっかりコールマンの術中に嵌っている自分がいるというわけ。 メンバーはHILTON RUIZ(P)GEORGE COLEMAN(TS,AS)LEON DORSEY(B)GRADY TATE(DS) 録音は2004年7月7日 THE PENTHOUSE IN, NYC ----------- フロリダのレーベルKOKO JAZZ からリリースされたGREG ABATEの新作。 この作品のプロデューサー、GUNNAR A. JACOBSENがGREG ABATEのプレイに感銘を受けコンサートの企画を要請したところ、最初渋っていたABATEがレコーディングを一緒に出来るならばという条件でブッキングが成り立ったらしい。 そうした結果としてこの作品が産みだされた次第。 アルバム表題通り、ホレス・シルバー作品集となっている。 シルバーの曲はキャッチ―なメロディーとエキゾ感溢れる口ずさむ事の可能な親しみやすい楽曲が多いので、GREG ABATEもその楽曲の魅力をフルに引き出すためにわざとアレンジは控えめにしてストレートにプレイしている。 これがこのアルバムの成功の要因だろう。 フロントのCALUDIO RODITIとのコンビネーションも抜群で、スムースで快適な演奏を聴き進むにつれ、シルバーってイイなぁ!ジャズってイイなぁ!と改めて認識し、その幸せにひたれる仕掛け。 「FILTHY McNASTY」「NICA'S DREAM」「SONG FOR MY FARTHER」「NUTVILLE」「SILVER'S SERENADE」「PEACE」「QUICKSILVER」 貴方はどの曲がお好みですか? 私はと言うと昔から「NICA'S DREAM」と「SILVER'S SERENADE」が好きなのです。 メンバーはGREG ABATE(AS,TS)CLAUDIO RODITI(TP)HILTON RUIZ(P) MARSHALL WOOD(B)ARTIE CABRAL(DS) 録音は2004年9月24,25日 ------------ ジャンル別一覧
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